解説は映画.comから引用
「愛のむきだし」「ヒミズ」の鬼才・園子温監督が、自身初の娯楽作と銘打つアクション活劇。ヤクザの組長・武藤は、獄中の妻しずえの夢でもある、娘ミツコを主演にした映画の製作を決意。「映画の神様」を信じるうだつのあがらない映画青年と、通りすがりのごく普通の青年を監督に迎え、手下のヤクザたちをキャストに映画作りを始める。しかし、対立する池上組の組長でミツコに恋心を抱く池上も巻き込み、事態は思いもよらない方向へと進んでいく。園組へ初参加となる國村隼が武藤役で主演。ミツコ役の二階堂ふみ、池上役の堤真一ほか、長谷川博己、星野源、友近ら個性的かつ実力派の俳優たちが集う。
点数 75/100
きらいじゃないけれども、気になる点はたくさんあった映画
園子温監督作品は冷たい熱帯魚とヒミズぐらいしか鑑賞していないのですが、今作はすごくエンターテイメント寄りになったなあと感じました。
まずいちばん思ったことが、橋本(星野源)いるか?ってことですかね。結局最後まで特に何もせずに、最後の最後に少しロマンス要素があった程度。存在の意味がいまいちよくわからなかった。ああいう抗争のなかのロマンスだと、トゥルー・ロマンスっぽいですね
次に、大きな筋となる話がいくつもありすぎて、どれも今ひとつ足りなくなってる気がしたんですよね。ヤクザの抗争に、昔から撮りたかった映画の話、そして武藤ミツコ(二階堂ふみ)と橋本の話。どれもすごく好きなんですけど1つの映画としてみてみるとイマイチまとまりがないように思えました。
映画を撮り始めるきっかけも弱すぎると思いました。きっかけの部分なのでもう少し何かあってもいいと感じました。
そうはいっても、俳優陣は各それぞれすごくよくて、國村さんのヤクザは当然のように似合うし、堤さんもミツコのことを考えるとにやけたり、バッチリカメラ目線だったりすごくよかったです。二階堂ふみちゃんはヒミズの時とはまた違う良さがありました。普通にかっこいい。それでいてかわいい。平田を演じた長谷川博己さんもいい変わり者感をだしてました。坂口拓さんのブルース・リーリスペクトはすごく好きでした。
細かい笑いをたくさん入れているのもいいですね。組長の武藤の愛人が変わるたび、スナックの看板の名前が変わるとか、橋本がコカインでラリって、幻覚で7色の首から出る血をみたり。刀での抗争の中にいるブルース・リーは今思ったら、キル・ビルオマージュでしたね。
印象的だったシーンといえば、幼少時代の家に帰ると天井からのショットで、赤い絨毯なのかな?ってみていると床一面血まみれだったっていうのはすごく好き。そのあと、そこでOPで流れる歯磨き粉のCMを踊るところとか深作作品っぽいなあって感じました。警察署の名前から、車の深作ナンバーまでいたるところに深作監督へのオマージュ的要素が隠れていました。
あとは、口にビール瓶の破片をいれて、その後ディープキスで口の中血まみれ演出はすごく好き。
最後の襲撃兼、映画撮影シーンでのゴア表現というか血まみれは見ててやり過ぎな分、不快感も少なめになってると感じました。それにしても國村さんはどれだけ首があればいいんだ。
ヤクザがレンタルしてきた撮影機材でいきなり映画撮ってたり、襲撃後の警察が自ら発砲しているのはちょっと気になりました。
全体的に見てエンターテイメント要素を全面に出して、映画とはなにかっていうことを映画が教えてくれるようなそういう作品だったと思います。
EDの星野さんが歌う地獄でなぜ悪いもすごく好き。
ではでは