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天国と地獄(ネタバレあり)

黒澤明監督作品の天国と地獄を鑑賞したのでつらつらと

解説は映画.comから引用

 エド・マクベインの原作を得て、黒澤明監督が映画化した全編息づまるサスペンス。製靴会社の専務権藤の息子と間違えられて、運転手の息子が誘拐された。要求された身代金は三千万円。苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出して三千万円を犯人に受け渡し、無事子供を救出する。非凡な知能犯の真の目的とは。鉄橋を利用した現金受け渡しのシーンは秀逸で、実際にこれを模倣した誘拐事件が発生した。また白黒作品であるにもかかわらず、最も重要なシーンで一個所のみ着色を施すなど新たな演出も印象深い。

天国と地獄 : 作品情報 - 映画.com

 


High and Low Japanese Trailer - YouTube

 

点数 84/100

黒澤映画が多くある中で、今作を見ようと思ったきっかけの一つとして、自分の大好きなバンドの1つであるUNISON SQUARE GARDENの次のアルバム曲に天国と地獄って題の曲があるんですよね。そんな軽い気持ちで見始めた今作。


UNISON SQUARE GARDEN「天国と地獄」ショートVer. - YouTube

題名だけは知ってるものの内容がどんなものか知らずに見たわけですけれども。

結論から言うとくっそ面白かった。

世界のクロサワ作品だけあって後の映画が影響された部分を多く見ることが出来ました。

なんといっても一番の鳥肌シーンといえば、本編がずっと白黒なのに対し、ある一場面だけはカラーで表現されているあそこ。後にシンドラーのリストや、まだ未見ですが、ランブルフィッシュでオマージュされているみたいですね。あの鮮やかな桃色は、すごく印象に残る場面だと思います。

あとは、中盤までの誘拐犯との駆け引き場面はずっと権藤家で行われるわけですが、場面が変わらないのに飽きさせない作りになっているのはさすがとしか。

権藤金吾を演じる三船敏郎の迫力はやっぱりすごいし、靴職人として自分のやりたいことをしたいっていう気持ちや、会社を実は乗っ取ろうとしていたということ、身代金を払うか、それとも自分の立場を守るかという葛藤も凄くよかった。

そのあとのこだまでの犯人との取引の仕方もしびれますね。窓の僅かな隙間から身代金の入ったかばんを車外に捨てるなんて発想なかなかできないです。そのためもあって、数多くの模倣犯がでたのは御存知の通り。あとは誘拐犯も多くでたみたいですね。

犯人を特定するため、捜査本部での各班の報告を次々と聞いていくところは凄くワクワクするし、犯人はどうしてこんなことをしたのかっていうのを考えながら見ていくのはとても面白かった。

やっぱアレだけの人数がいても捜査本部長の志村喬のオーラはすごいなあと。

電話から聞こえる電車の音から江ノ電って判明するまでのくだりはすごく好きだったなあ。あの当時から鉄っていたんだね。それと、江ノ島と富士山と海ってやっぱり素敵だわ。

個性的な刑事の面々も見ていておもしろかったなあ。あきらかに尾行バレてるでしょ。よく気付かれなかったな。

誘拐された子どもとの再会シーンは田口部長刑事じゃないですけれど、ぐっとくるものが有りました。そのあとの息子になんとか思い出させようと色々するところは、刑事と同じようになにやってんだかって思っていたものの、そこにある権藤さんに申し訳ないことをした償いっていう意味もあるのを知るとすごく胸が熱くなる。

クラブのシーンであったり、ヤク中だらけの黄金町のシーンだったり、今では考えられないような日本の一面を垣間見る事もできたかな。日本にあんな場所あったなんて信じられない。(黄金町のシーンはセットだったみたいですが)

あとは犯人である竹内銀次郎(山崎努)が徹底的に悪に描かれているのもすごく印象的でした。とくに、権藤と知っていてわざとタバコの火を貰いに行く場面なんかほんとにド畜生ですよね。

最後の面会シーンで天国と地獄というタイトルの意味を知ることになるし、権藤は本当に竹内の言う天国にいたのかどうかっていうのも考えさせられた。手の震えとそれで金網を揺らすのとかこっちが震えそうなくらい鳥肌立つね。

 

天国と地獄っていう大傑作にもう少し早く出会いたくなるぐらいのお気に入り映画でした。いろいろ黒澤映画みたくなったなあ。

 

ではでは