ブライアン・デ・パルマ監督初期作である愛のメモリーを鑑賞したのでつらつらと
解説は映画.comから引用
1959年、幸せの絶頂にあったマイケルに突然悲劇が訪れる。最愛の妻子が何者かに誘拐され、その後、ふたりが事故死するという最悪の結末に。それから16年後。妻の面影を忘れることができなかったマイケルの前に、彼女とそっくりの女性サンドラが現れる。ふたりは結婚を約束するが、やがてサンドラが誘拐されるという事件が……。妻を愛し続けた男のあまりにも皮肉な運命を描くロマンティック・サスペンス。
点数 75/100
ブライアン・デ・パルマ監督とタクシードライバーや、ローリング・サンダー、レイジング・ブルの脚本でお馴染みポール・シュレイダーがタッグを組んでいる今作
デ・パルマが敬愛しているアルフレッド・ヒッチコック監督の名作めまいにインスパイアされているというところがひとつの見所。
事件に巻き込まれ愛する妻と娘を失ってしまったマイケル(クリフ・ロバートソン)が16年後、たまたま旅先のイタリアで亡くなった妻の生き写しの女性サンドラ(ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド)に出会うんですが、まあサンドラがお目目クリクリで可愛らしいこと。
何度も使われるカメラが1周する間にその景色が変わっているっていう演出などデ・パルマらしい演出が盛り沢山だったのも印象的。
序盤はわりと置いてけぼりな展開で、事件に巻き込まれ妻と娘を失うあたりまではいいんですが、サンドラに出会ってからは一方的なマイケルの猛アタックをただただ見ているだけでテンポはいいものの退屈気味だったかな。なんでこんなにあっさりうまくいってしまうのかは後々わかることなんですが。
アメリカにサンドラとともに帰国後、サンドラがなくなった妻にだんだん似せていく場面とかは凄くめまいを連想させるような作りになっていて、それがまたすごくいい。
終盤サンドラがいなくなってしまい、冒頭の誘拐事件をまんま繰り返す場面からの、実はサンドラが亡くなっていたと思っていた娘だったとわかる回想シーンは鳥肌たちましたね。「パパ」という台詞がすごく印象的に使われてました。ただのめまいのオマージュ作品だと思っていたらしっかりそういうどんでん返しがあったのでデ・パルマ侮れない。
サンドラが娘とわかってから、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルドが娘に見えてくるから女優ってやっぱすごいわ。序盤のありのままのサンドラに、妻のエリザベス。そして娘のエイミーと演技の七変化は見ものです。
最後はデ・パルマお得意のスローモーションとカメラぐるぐる。あの演出好きだけどいっつも酔っちゃううんだよね。この演出はまんまミッドナイト・クロスでよりブラッシュアップさせてラストに使われてましたね。拳銃持ったまま駆け出すから娘殺しちゃうんじゃないかとちょっとヒヤヒヤしましたよ。
その空港の場面でのマイケルの時とサンドラの時の音楽の対比が緊張感を煽っていてすごく好きでした。
どんでん返し要素があったりするもののサスペンスとしてはやっぱり物足りなく感じてしまうのは仕方がなかったのかなあ。ジョン・リスゴーは相変わらず悪役顔してたな。
めまいのオマージュを入れつつも、愛のメモリー(原題はObsession 妄想、強迫観念)という作品に仕上げているのはさすがだなあって思いました。
愛のメモリーといったらこっちを思い出してしまうよね
ではでは