ブライアン・デ・パルマ監督作 悪魔のシスターを鑑賞したのでつらつらと
解説は映画.comから引用
美しいモデルのダニエルと一夜を過ごした男性が殺害される。その現場を真向いのマンションから目撃した記者グレースは探偵ジョセフとともに事件解明に乗り出す。やがてグレースたちはダニエルをめぐる秘密を知ることに。ダニエルは体がつながったまま生まれたシャム双生児だった。彼女には、切り離し手術後に死んだ双子の片割れの意識が乗り移っていたのだ……。ヒッチコックへのオマージュも色濃いブライアン・デ・パルマ監督のサスペンス・スリラー。
Sisters (1973) - Trailer - YouTube
点数 70/100
ブライアン・デ・パルマ監督作らしくヒッチコックの影響を受けているのが伝わってくる作品です。今作は裏窓+サイコといったところでしょうか。
音楽はヒッチコック映画も担当したバーナード・ハーマン。デ・パルマはどれだけヒッチコックになりたかったんだ。
悪魔のシスターという題名の通り姉妹の話なのですが双子は双子なんだけれども元々はシャム双生児という身体がつながった双子だったことがわかるっていう流れ。
序盤から姉のおっとりしたダニエルと妹のもう1人の人格であるドミニクが1人の身体にいてドミニクのほうが殺しちゃったんだろうなあってのは、まるわかりなわけですが、まさかのシャム双生児で、実はもともとつながっていた双子だったとは驚きでした。序盤のお色気シーンでの腰の傷からして、ブラックジャックのピノコ的な感じで腫瘍に姉妹が入ってるのかとも思いましたが違いましたね。
殺人現場をたまたま窓越しに見てしまったのが新聞記者のグレース。これがまた第一印象が最悪で今までダニエル側にいた観客が突然グレースの立場から物を見させられるわけでなんというか、事件を追求してほしくないなーなんて。
殺人を目撃してしまってから警察を呼び、ダニエル宅まで移動するのはデ・パルマお得意の画面二分割です。殺人現場を何とか片付けようとしている一方で、過去にごたごたがあったせいで、まともに警察にとりあってもらえないグレースの対比はとても面白かったです。
終盤の催眠術で過去にシャム双生児のダニエルとドミニクにどんなことがあったのかを語りかけますが、その時に催眠術のせいでドミニク役がグレースになってしまっているんですよね。グレースが催眠術にかかってドミニクの立場になっているってことなんですけれども、えっ?ダニエルとグレースが双子だったの?ドミニクって分離手術で死んだんじゃないの?ってちょっと混乱する作りになってしまったのが非常に残念だった。
でもそこまでのシャム双生児のビデオや、過去の記憶の白黒映像のインパクトの強さと言ったら。特に身体を肉切り包丁で切っちゃうのは誇張なんだろうけれどすごく脳裏に焼き付く映像。儀式的で凄く気持ち悪い。
サスペンス要素は強いもののもう一歩欲しかったところもあるし、裏窓やサイコをうまく取り入れようとしすぎてどちらも中途半端になってしまった感じが否めなかったかな。
それでもこの頃からデ・パルマ・タッチは全開でこの後の作品でも多く使われるような演出が数多く見られるのもよかったですね。
ラストは催眠術のせいで、刑事に殺人のことを問われても、殺人なんてなかったって延々と繰り返すあたりの不気味さと、探偵が死体の入ったソファーを遠くから眺めているという終わり方の後味がすごく印象的でした。催眠術のくだりはなぜかバイオショックを思い出したり。
近所にレンタルできる店がなくてもアマゾンインスタントビデオで借りれちゃうこのご時世素晴らしいね。
ではでは